不動産売買における重要事項説明書の記載事項は?内容は?一般の方向けに説明します
土地や建物などの不動産の案内を受け、物件を気に入り、不動産の購入申込書を書いた後、そして売買契約の「前」に、これから購入しようとする不動産はどういった不動産なのか、条例などの規制はないのか?道路はどういった状況か?などの詳しい概要の説明を受けます。
実際の不動産売買の時に、買主の方は重要事項説明を聞いていますが、やはり難しいことが多く、よく分かっていないケースも多いので、今回できる限り分かりやすく書けたらと思っています。
重要事項説明書とは
住宅や土地を購入するとき、買主が知っておくべき情報はたくさんあります。
ただ、前述したように買主には難しいことやわからない事も多く、理解するのが大変です。
説明する悪い宅地建物取引士によっては内容をわざと難しく説明する事で、「どういう事?」と聞き返されないように説明する宅建士もいます。都合の悪い事は「ゴニョゴニョゴニョ・・・」と適当に流しているわけです。
また、時には宅地建物取引士自体も分かってないような場合もあります。
不動産の購入後に「そんな事知らなかった!」と後々後悔することになりかねませんので、買主はできる限り内容を把握しておいた方が良いと思います。
もし、重要事項説明がなかった場合、買主が家を建てる目的で土地を購入するのに、実はその土地が家が立てられない土地という事を後々知って、大損害を被るということになりかねません。
そういうことがないように、買主に変わって宅地建物取引士が調査をし、買主に売買契約をする「前」に、重要事項説明書を用いて説明して、買主にお渡しするというものです。
重要事項説明書は、買主がその不動産を購入するか購入しないかを考えるための大事なものです。
分からないことはどんどん質問して、納得して不動産を購入してください。
重要事項説明書の記載内容

基本的な内容としては以下の通りとなっています。
- 不動産業者の表示
- 不動産の表示
- 売主の表示
- 法令上の制限
- 飲用水等の生活関連施設
- 対象となる宅地または建物に直接関係する事項
- 取引内容
- そのほかの重要事項
順番に見ていきますね!
不動産業者の表示
不動産の売主業者または仲介会社の表示がされています。
不動産業者の名称、住所、電話番号、宅建業者免許の番号、説明する宅建士の名前、免許番号、そして保証協会などの概要などが記載されています。
不動産の表示
これから購入するのはどこの不動産なのか(住所)、広さはどれくらいなのか(面積)、地目は何なのか(宅地?農地?など)などが記載されています。
一般的な重要事項説明書には、不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)が添付されていますので、それと相違ないか確認する程度です。
ただし、売買契約後に分筆する場合や、農地転用する場合などは、分筆前や転用前の内容が記載されていますので、注意が必要です。
土地に対して
また、土地に対する測量図があるのかないのか、ある場合にはどういった種類の測量図があるのか。
地積測量図、確定測量図、現況測量図など測量図でも色々な種類があります。
■確定測量図
土地家屋調査士等によって、全ての隣接地の所有者との立ち合いをして境界確定を行い、測量されたもので正確さ・確実さは一番高い
■現況測量図
土地家屋調査士等が作成しますが、道路など国や地方公共団体が所有する隣接地との立ち合いを行わずに行う測量なので、確定測量図よりは正確さは欠けますが、トラブルは少ないと思われる測量図
■地積測量図
分筆登記等の際に添付される測量図で、法務局に申請書類として保管されているものですが、確定測量図であるとは限りません。つまり、登記されているからといって必ずしも正確ではないということです。特に古い地積測量図などはめちゃくちゃなケースもあります。
建物に対して
家屋番号や住居表示、付属建物があるのかないのか、そして木造か鉄骨造かなどの構造、床面積、建築時期などの情報が記載されています。
売主の表示
売主の表示も、基本的には全部事項証明書に記載されている売主と同一人物である場合が一般的ではありますが、所有者が亡くなっていて、相続登記がまだ終わっていない場合などは同一人物ではないため、どういった状況なのかを説明を受ける必要があります。
買主に所有権移転登記をする際には、売主と、登記簿上の所有者とは最終的には同一人物でなければならない為、そのあたりの状況を詳しく説明を受けます。
また、重要事項説明時において、誰か第三者が占有しているかどうかなどの情報もあります。
法令上の制限
自分の土地であっても自由に利用できる訳ではありません。
法律によって利用が制限されたり、建物の規模や形状、用途が制限されています。利用制限・建築制限が説明されますので、将来建て替えることが可能か、しっかり確認します。
ただし、不動産会社=建築会社ではありませんので、買主が希望する設計図面で建築ができるかどうかを不動産会社が答えられる訳ではありませんので注意してください。希望する設計図面で建築ができるかどうかは、建築士に確認しましょう。
都市計画法に基づく制限
地域によって、市街化を促進する区域(市街化区域)、逆に抑制する区域(市街化調整区域)、それ以外などを行政が決定しています。市街化調整区域だと建築に影響がある場合もあるので注意が必要です。
建築基準法に基づく制限
これもまた、地域によって行政が決定しています。例えば、住居地域、工業地域、商業地域など色々な地域があり、地域によっては建てられる建築物などにも制限があったりしますので、大事な事項です。
建ぺい率、容積率、高さの制限など細かく規定があります。
道路
道路の種類によっては、建築ができないケースなどもあります。見た目が道路だからと言って、必ずしもそうではありません。その道路が公道なのか、個人が所有する私道なのか、私道だった場合には通行するのに負担が必要なのかなど詳しく説明を受けます。
飲用水等の生活関連施設
飲用水は現在その土地や建物に水道管の引き込みがあるのか、引き込みがある場合に太さ(口径)はどれくらいなのか、私設管(水道局が所有していなくて個人が持っている水道管)が入っていないかという事や、
ガス管、電気、下水または浄化槽のことなどライフラインについて記載されています。
将来、負担金が発生するかしないかなどの情報もありますので、しっかり確認しときましょう。
対象となる宅地または建物に直接関係する事項
建物関係
建物の建築確認番号や検査済み番号があるか、中古住宅の場合、購入時における資料等を売主は持っているか、建物状況調査(インスペクション)をしているかどうか、さらにアスベストを使用しているかなど、建物について説明されます。
土地関係
ここでは、土砂災害警戒区域、津波災害警戒区域かどうか、各ハザードマップが存在するかどうかなどを説明されます。
取引内容
売買代金はいくらか、手付金の額、固定資産税の清算金はいくらかなど記載されます。
固定資産税の精算は、固定資産税の課税証明等が添付されてる場合もあります。
ただ、売買契約の時点ではまだ引き渡し日が決まっていないことが多いため、年間の固定資産税額を確認しておきましょう。
契約の解除に関する事項
手付け解除
不動産売買においては、手付金による解除というものがあります。結婚の結納を想像してもらえればわかりやすいですが、売主から契約を辞めたいと言った場合、受け取った手付金の額の2倍を支払えば、契約を解除できます。反対に、買主から解除したい場合には、支払った手付金を放棄すれば解除できます。
ただ、その手付金の解除にも期限があります。いつまでにという内容が記載事項です。
融資利用の特約による解除
住宅ローンなどの融資を申し込むときに、○月○日までに銀行から融資の承認をもらえない時は売買契約は白紙に戻しますという内容です。
そのほかの重要事項
宅建業法により、重要事項として説明が義務付けられていること意外にも越境物の有無、交通の利便、近隣の住環境などについても確認が必要です。これらの項目は重要事項説明書の最後にある「その他」の欄で説明されます。
一般的には、どういった内容が記載されているかというと、例えば以下のようなものです。
- 売主は、地下埋設物の調査や土壌汚染調査などはやっていない為、今後調査が必要となった場合には買主の負担で調査してください。
- 騒音・臭気・日照りなどは十分に確認しておいてください。また、近隣住民が今後建築や増築することで、現在の環境が変わることがありますが、それは買主はそれを承諾します。
- 天災・地変(台風・地震・津波)などの災害時の損傷等は売主の責任ではないものとします。
- 法令の制限につきましては、重要事項説明時における規制です。将来、法律が変わればその規制も変更される可能性がありますが、買主は承知してください。
実際の重要事項説明書では、もう少し多くの事を記載しますが、こういった内容のことが記載されています。
最後に
重要事項説明書は、作成は誰が作成しても構いませんが、買主に対して説明するには、必ず宅地建物取引士が取引士免許証を提示して、説明しなければなりません。
仮に、買主が「そんなの面倒なのでやらなくて良いよ」と言った場合でも必ず宅建業者は行わなければなりません。業法違反になります。
重要事項説明書は、不動産会社の一番の仕事ポイントでもありますので、ぜひ注意深く観察してみてほしいなと思います。
不動産会社によっては、内容がめちゃくちゃだったり、嘘が書かれたりと言った事もあります。
そういった場合には不動産業が加盟する保証協会に連絡するのが良いと思います。
重要事項説明書の1番最初のページで不動産会社が記載されているページの一番下にある保証協会のことです。
何度も良いますが、納得して不動産を購入していただきたいので、分からないことがあれば何度も質問してみてくださいね。
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